大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)750号・昭28年(ネ)1815号 判決

原判決中、控訴人(原告、附帯被控訴人)にたいし金六万円およびこれにたいする昭和二七年一二月一四日から支払ずみまで年五分の割合による金額の支払を命じた部分を除くその余を左のとおり変更する。

被控訴人(被告、附帯控訴人)は控訴人にたいし、金四万八千八十六円およびこれにたいする昭和二七年一二月一四日から支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払うべし。

控訴人のその余の請求を棄却する。

被控訴人の附帯控訴を棄却する。

訴訟費用中、附帯控訴費用は被控訴人の負担とし、その余の訴訟費用は第一、二審ともこれを二分してその一を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。

二、事  実

控訴代理人は、原判決中、控訴人敗訴の部分を取消す、被控訴人は控訴人にたいし、金十四万七百五十八円およびこれにたいする昭和二七年一二月一四日から支払ずみにいたるまで、年五分の割合による金員を支払うべし、訴訟費用は被控訴人の負担とする、附帯控訴はこれを棄却するとの判決を求めた。

被控訴代理人は、本件控訴はこれを棄却する、原判決中、被控訴人敗訴の部分を取消す、控訴人の請求を棄却するとの判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用および認否は、控訴代理人において、当審証人平尾元次郎、同山下立夫の各証言を援用したほかは、すべて原判決事実らんに記載のとおりであるからここにこれを引用する(ただし、原判決二枚目表一行目に、「東京私立千住職業女学校」とあるのは、「東京都本郷区追分町私立十佳職業女学校」の誤記と認める)。

三、理  由

控訴人の本訴請求中、控訴人が被控訴人の本件不法行為により受けた精神上の損害にたいする慰藉料請求については、原判決理由中この点に関する説示と同理由で、金六万円をもつて相当とし、慰藉料請求中、右金円およびこれにたいする訴状送達の翌日たる昭和二七年一二月一四日から支払ずみにいたるまで年五分の割合の遅延損害金の支払を求める部分は正当として認容すべく、その余は理由なしとして棄却すべきものと判断するから、原判決理由中前記説示を引用する。よつて原判決が右の限度において慰藉料請求を認容したのは相当であるからこの部分の棄却を求める被控訴人の附帯控訴は理由がなく、また、控訴人の右金額をこえる慰藉料支払請求は理由がない。

つぎに、控訴人の本訴請求中、控訴人が名倉医院に入院中の飲食費、雑費として支出した金銭上の損害および得べかりし収入を失つたことによる損害の各賠償を求める部分について考えるに、原審証人伊豆井フジ、当審証人山下立夫、同平尾元次郎の各証言および原審における控訴本人の供述をあわせ考えると、控訴人は本件傷害を被むつたため、名倉医院に入院加療中、控訴人が病人として特に栄養をとる必要があつたためと、附添看護人に飲食を供するために金二万九百八十円の支出を余儀なくせしめられ、その他薪炭費金千九百四十円、電車賃、電報、電話料および雑費金千百六十六円を支出したことならびに控訴人は右傷害を受けた当時、洋裁の業務に従事し、一ケ月金三千円の収入をえていたものであるが、この傷害により働くことができず、昭和二五年一月四日から同年八月三日まで八ケ月の間に金二万四千円の得べかりし利益を失つたことをそれぞれ認めることができ、以上損害額の合計は金四万八千八十六円であることが明らかである。

右のとおりであるから、控訴人の本訴請求中、前記物質的損害にたいする賠償を求める部分は、右金四万八千八十六円およびこれにたいする訴状送達の翌日たる昭和二七年一二月一四日からこの金円の支払ずみにいたるまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分についてのみ正当としてこれを認容すべきも、その余の部分は失当としてこれを棄却する。

したがつて、原判決中控訴人の請求を棄却した部分で慰藉料以外の請求に関する部分は前記の限度において失当である。よつて原判決はこれを変更し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第八九条第九二条第九六条、なお附帯控訴費用の負担につき、同法第九五条にしたがい主文のとおり判決する。

(裁判官 藤江忠二郎 原宸 浅沼武)

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